プロペラバランスなど

はじめに
ちょっと良い題名が思い付かなかったので、プロペラバランスとしました。
要は、機体に乗せた状態でモーターを回した時、異常振動が発生する事に関してのお話です。
内容は、初級者向けです。
ガタガタガタ・・・！
機体が完成して試しで動力を接続してプロペラを回すとどうしても振動が出る事が有りますよね。
振動が発生すると出力や効率に影響しますし、とにかくうるさい。
電動がうるさいのはどうも許せませんよね・・・・・。
さて、この振動の原因はプロペラバランスの問題が多いです。
プロペラバランサーという道具を使ってバランスをとりましょう。
（プロペラバランサーは、ＱＲＰでも扱っていますのでＨＰで画像や値段が確認出来ると思います。）
軽い方のプロペラの裏の先端から１／３位に３Ｍなどの梱包用テープを貼ります。
カッターをあてがって、はみ出た部分を切り取ります。
様子を見ながらカッターなどで、プロペラの内側から５ｍｍ幅くらいに段階的に切り落としていきます。
そうすると最終的にプロペラが水平で停止すれば取りあえずＯＫです。
画像付きの解説は、ＱＲＰのホームページをご覧ください。
さて、取り付けて回してみてください。
取りあえず振動が無くなればこれで良いです。
しかし、いくら慎重にバランスをとってもどうしても振動が収まらない事が有ります。
ひどい時には、モーターごと大暴れします。
振動が発生する原因には、根本的な原因とそれを助長するアイテムが有ります。
私も色々と悩みましたが、一つの助長原因を取り除くだけでも随分と振動が少なくなります。
その辺のお話をしていきます。
- プロペラシャフトのスリーブ
  京商のプロペラアダプター（ギアダウンユニットのシャフトにプロペラを取り付ける為のアダプタ）は６ｍｍ径です。
  ＡＰＣの１０＊８などの取り付け穴は８ｍｍ径です。
  面倒だからと言って無理してそのまま付けては絶対にダメです。
  ＱＲＰなどでも外径８ｍｍ内径６ｍｍのアルミ製のスリーブを売っていますので購入してください。
  同径のアルミパイプとパイプカッターを買ってきて自分で作ってもＯＫです。
  （私は自分で作っています。）
  これをプロペラアダプターに被せてプロペラを取り付ければ、まぁまぁの精度で心出しが出来ます。
- 低周波アンプ
  別に低周波アンプが使えないと言う訳では有りません。
  ただ低周波アンプの中速域で発生する制御の荒さは、少しのバランスのズレを助長する事が多いです。
  高周波アンプに変更するだけで嘘の様に振動がおさまる事が有ります。
  また、中速域の音も激減しますので高周波アンプをお勧めします。
  シュルツェは確かに高性能なのですが、値段や入手困難の場合も多いので他のメーカーでも全く問題有りません。
  ただし、本当に高周波アンプである事を確認して購入してください。
  中にはシュルツェと同じ様な形で低周波アンプの物も存在しますのでご注意ください。
- ０６モジュール
  ダイレクトドライブよりギアダウンの方が振動が出る要因が多いですよね。
  （部品点数が多いのでしかたがありませんが。）
  ０６モジュールのユニットは、どうしても音が大きく振動の原因になる場合があります。
  これは、中級者以上のお話ですが０４モジュールに変更すると音振動共に良好です。
  このページに記載された他の事を全て行って最終的には０４モジュールにしたいですね。
- ＭＫスピンナー
  意外とスピンナーが振動の原因になっている場合が有ります。
  特にＭＫの２本のタッピングビスで止めるタイプでバックプレートが樹脂製の物は要注意です。
  価格的に安く、重量も軽く、入手も比較的簡単なので私としては良い評価をしています。
  しかし、上手く調整するには多少のコツが必要です。
  - ビスは閉めすぎない事。
    別にエンジンスターターを使用する訳では無いのでガッチリと締める必要は有りません。
    片手でプロペラを持ち、もう片方の手でスピンナーの先を摘んでグリグリと揺すった時に、バックプレートとの間がパカパカしない程度で十分です。
  - プロペラ出口の切り欠きは確実に。
    無加工で付く場合はほとんどあり得ないと思います。
    面倒でも丁寧に仕上げてください。
    全体にプロペラと１ｍｍ前後の余裕を作るつもりで良いと思います。
    上記の方法で取り付けた時に、プロペラの出口周りがプックリと歪む様では芯ズレが出てしまいます。
    丹念に当たっている場所を確認して加工してください。
  - 芯ズレの確認。
    ダイレクトの場合は出来ませんが、ギアダウンの場合は以下の方法で調整します。
    モーターのピニオンを外した状態で機体に組み付けます。
    （私の場合は、テストベンチ君壱号を使います。）
    機体の下に定規などで直線を引いた紙を胴体の中心線の位置に直線が来る様におきます。
    （動力の軸線上に重ねる様に置くと表現した方が良いでしょうか・・・・。）
    プロペラやスピンナーも上記方法で組み付けますが、プロペラアダプターのイモネジは外しておいて良いです。
    機体の上から覗いて、スピンナーの先端から下に敷いた紙の直線が見える位置に頭を移動します。
    その状態で、スピンナーを摘んだりして手で軽くプロペラを回します。
    この状態でクルクルと惰性で回る様でないとギアダウンユニットの組付けが悪いか、メタルをベアリングに交換してないかですね。
    クルクルと回った時にスピンナーの先頭が左右に振れないか確認してください。
    ふれている時は、ほんの少し振れているのと反対側のビスを締めます。
    （角度にして４５度以内の締め込みです。）
    もし、ビスとバックプレートの間の部分がプックリとなってくる様では締めすぎです。
    締めすぎになっても調整がきかない場合は反対を少し緩めましょう。
    この調整を根気よく行ってください。
  さて、これでスピンナーの調整は終了です。
  もし、スピンナーを外した時は毎回調整します。
- 全体的なバランス調整
  プロペラ単体のバランスは調整しました。
  しかし、プロペラはアダプターに組み付けた状態で回転します。
  また、場合によってはスピンナーも付いています。
  つまり、この状態でバランスが合っていないと意味がありません。
  プロペラとスピンナーを組み付けた状態で、上記のスピンナーの芯ズレをまず修正します。
  その後に、同様の方法でクルクルと回してみてプロペラの止まる位置で重たい部分を判定します。
  ベアリングを組み込んで調整が上手くいっていれば、プロペラを水平にするだけでプロペラバランサーを使用した時と同じ様に重たい部分が下がります。
  プロペラバランスを調整した方法と同じ方法で調整してください。
  その時、プロペラのどちらかが重い場合は良いのですが、プロペラを水平にした時の上もしくは下の部分が重たい場合が有ります。
  （表現が難しいのですが、要はスピンナーのプロペラが出ていない部分の一部が重たい場合。）
  この場合は調整がやっかいです。
  取りあえず、スピンナーの上からテープを貼ってバランスを取ってしまいましょう。
  バランスが取れたら、一度スピンナーを外します。
  （この時、スピンナーがバックプレートのどちらにはまっていたかを覚えておきます。）
  バランス調整したテープを外し、スピンナーの内側から調整したのと同じ位置に外したテープを貼り付けます
  その後スピンナーをバランス調整した時に取り付けていた方向と同じ方向に取り付けます。
  そして、また芯ズレを調整してバランスを見ます。
  この時狂っていたらまた同じ様に根気よく繰り返します。
  この調整も、芯ズレの調整と同じでスピンナーやプロペラを外すたびに毎回行います。
新たな問題
さて、以上の項目を調整すればかなり振動が収まるはずです。
しかし、問題が有ります。
通常、機体にギアダウンユニットなどを取り付ける場合は、モーターやプロペラアダプターを組み付けた状態で取り付け、最後にスピンナーやプロペラを取り付けます。
ＱＲＰのキットは、モーターやギアダウンユニットが見えているので、ピニオンを外して調整したり、そのままプロペラアダプターを外すことが可能です。
ところが、カウルなどでスッポリとユニットが隠れてしまう機体では、プロペラアダプターを取り付けてギアダウンユニットを取り付けた後にカウルをかぶせてプロペラなどを取り付けます。
つまり、上記調整のピニオンギアを外して・・・・が上手くいかないのです。
また、上手く調整できたとしてもカウルを外してモーターをメンテするにはプロペラアダプターからプロペラやスピンナーを外す必要があります。
その度にバランス調整や芯ズレ調整をしていたのでは面倒です。
しかし、解決策が有りますのでご紹介しましょう。
要は、カウルなどが取り付けられた状態で、ギアダウンユニットに固定しているプロペラアダプターのイモネジを緩めたり締めたり出来れば良いわけです。
次のフラッシュのカウル部分のアップ画像をご覧ください。

注目して欲しいのは、カウルとスピンナーの間隔。
これ位のこだわりと精度で仕上げて欲しい物です。
あっ！　そのお話では有りませんでしたね。
(^^;ゞポリポリ

えっと、カウルの横に小さな穴が開いていますね。
京商のギアダウンユニットの先に付いている白い樹脂部品ですが、プロペラアダプターのイモネジを締める為の切り欠き穴が開いています。
カウルに開けた穴からヘキサレンチを突っ込むと、この樹脂部品の切り欠き部分からプロペラアダプターのイモネジが締め付けたり緩めたり出来るようになっています。
つまり、カウルを付けた状態でプロペラアダプターがスピンナーとプロペラをつけた状態で引き抜けるわけです。
ホームセンターなどに行くと、長めのヘキサレンチで先端がボールになっている物が売っています。
それを購入してくれば、多少挿入角度が違ってもネジを締めたり緩めたり出来ますので便利です。
また２つ穴が開いているのは、片方の穴から覗きながらヘキサレンチをイモネジに突っ込むためです。
スピンナーの両脇に大きな空気穴が開いているＣＡＰの様な機体では覗き穴は不要ですね。

まぁ多少見た目は悪くなりますが整備は格段に楽になります。
また、本当に気合いを入れて調整したのに分解の度に調整ではウンザリしますよね。
この方法なら、一度気合いを入れて調整すれば後は緩みだけ注意すればメンテナンスフリーです。
絶対お勧めの方法ですので皆さんも一ついかがでしょう。

ちなみに私の機体は、ポータフィールド・アクロスカイ・フラッシュに全て穴を開けています。